私が認めらえたこと、勇気づけられたこと

今回は「私が認められたこと、勇気づけられたこと」という題で、私の経験談をお話ししたいと思います。
長文になりますが、お付き合いいただけると幸いです。

高校時代の私は部活動のフェンシング一筋。
「全国優勝」という目標を実現するため、苦しい練習を努力、根性、忍耐の精神で、脇目も振らず一心不乱に練習に打ち込み、鋼の精神力でどんな手強いライバルにも圧倒的な勝負強さで勝利を収めていました…と言えれば、たいそうカッコいいアスリート少年なのですが、実際はそれに程遠いダメダメな高校生でした。

チームには、特待生で入学したトップレベルの実力者が何人もいて、彼らは先生から教えられたことをすぐに吸収し、それでいてストイック。
彼らに追いつきたい気持ちはあるのですが、練習についていくのが精一杯。
団体戦メンバー入りを目指すことが目標の私と、オリンピックに出場するために高校レベルなんかで絶対に負けられない覚悟で挑む彼らの意識の違いに、大きな隔たりがありました。

やっとの想いで団体戦のメンバーに入っても、チームが負けるときの敗因は決まって私。
もっと努力をすればいいのに、肝心なときに手を抜いたり、誤魔化したり、サボったり…それの繰り返しでした。
決して逃げているつもりはありません。
しかし、やらなければいけないと分かっているのに、一丁前の目標を掲げているのに、ほかの主力メンバーと比べて明らかに覚悟と努力が足りないのです。
「練習は嘘をつかない」というフレーズは本当にその通りで、日頃の練習の取り組みが甘い私はいつも肝心なところで負けばかりでした。

そんなある日のことです。
所用で職員室に行くとフェンシング部の顧問がいて、顧問が私に話しかけました。
そのやり取りを見たベテランの先生が、顧問に「この子はフェンシング部の子?」と聞いたときのことです。あすると顧問はそのベテランの先生に向かって、すごく誇らしげに私を紹介してくれたのです。

「普通科の鎌田です。稲沢から通っていて、すごい努力家なんですよ」

私は顧問の先生の発した言葉にすごく驚きました。

(えっ?俺が努力家…?)

私は努力をしている意識もなければ、人からそんなことを言われるのも初めてです。
私なりにフェンシングに打ち込んでいましたが、それを自分で努力と捉えたことなんてこれっぽっちもありません。
でもそのときの顧問の真顔の返答。
自分の教え子を持ち上げ、大げさに話を膨らませて話しているように見えず、きっと本当にそう思っていて私を紹介しているように見えたのです。
練習や試合でいつも怒ってばかりの顧問が、私のことをそんなふうに認めてくれていたなんて…。
私はずっと自分のことを弱くて怠け者な人間だと思っていました。
中学時代、当時の部活の顧問から、毎日人格否定をされ続けていたため、いつしかその顧問が罵るように、自分はダメな人間だと自信を失っていたからです。

しかし、高校で出会ったフェンシング部の顧問は、私を努力家だと言ってくれた。
私はそれが、嬉しくて、嬉しくて!

一番認めてほしい人に、「努力家」だと言われたこと。

それからの私は、その言葉だけでどれだけ勇気づけられ、そして救われたか。
初めて自分が他人から認められ、内面に自信をもつことができたような感覚でした。

そんなことがあっても相変わらず練習は手を抜いてばかりでしたが、やはり先生の言葉が自分自身の中で大きな支えとなり、弱い自分と向き合いながらも、何とか高校3年間、私は私の意思を最後まで貫くことができました。

大人になり、社会に出れば、「結果が全て」というこだわりも必要です。
競争社会で戦う以上、その意識があって当然。
それでも私は結果を繋ぐ準備や工夫、そしてどんな努力をしたのか、これらのプロセスも追求したいと思います。

だって30年前、フェンシング部の先生が私のことを努力家だと言ってくれたんですもの。
人が大切にする信条って、そういうもののような気がするのです。

さて、塾人の私。
子どもたちのどんな良いところに気づいてあげられるのでしょう。
彼ら彼女ら、もしかして一緒に毎日過ごす親御さんですら、本人の良さに気づいていないことだって充分あります。

あの頃、私という存在を肯定し、ちゃんと認めてくれている人がいると知った心強さ、勇気。
パッと膨らんだ希望が、今でも自分の人生においてかなり大きなウエイトを占めていて、私もそんな勇気を子どもたちに少しでもいいから与えてあげられたらと願っています。

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このブログを書いた人

鎌田 則和のアバター 鎌田 則和 スクール長

学研CAIスクール稲沢駅西校スクール長。「ワンランク上に行こう!私たちはもっとできる!必ず成長する!!」をモットーに、文武両道を実践し、目標を達成する人間を育むことがスクール理念。
開校11年、高校受験第一志望校への合格率は97.0%。
特技は高校時代に2度の全国優勝を達成したフェンシング。
子育てコーチング「サイタコーディネーション」のメルマガ、「サイタ・メンバーズ通信」にてコラム連載(月1回)https://saita-coordination.com/

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