今回は、私が塾で生徒に指導する上で、よく使う言葉について紹介します。
それは「準備」です。
私は子どもの頃から、人が何かを成功させるために最も大切なことは、「努力」だと信じていました。
今でも努力を大切にする意識は持ち続けていますし、子どもたちにも努力ができる人間に育ってほしいと思っています。
しかし、何もかも「努力」という言葉で、目標に対する結果や成果のプロセスを一括りにすると、辛さが生じます。
気分やモチベーションに左右されやすいうえに、得意、不得意にも関係して、子どもたちは結果に対し、頑張ったか頑張りが足りなかったか、という感想や自己評価になりがちです。
また、努力するプロセスは大事ですが、後追いの努力は劣勢になりやすく、計画や戦略のない行き当たりばったりの努力は、悪く言えば、無駄な努力になりかねません。
学習成果においても、広告やネット記事で目を引く「逆転〇〇」のような劇的ストーリーより、早いうちから優位に物事を進めていく取り組みをした方が、成果も出やすく、可能性も広がるでしょう。
仮に途中で失敗しても、対処がしやすく、結果的に成功に繋がるケースもあります。
その「努力」に代わるのが「準備」です。
明日に備えて準備する。
学校に行く準備をする。
授業の準備をする。
新学期に備えて準備する。
定期試験に備えて準備する。
受験に向けて準備する。
人と楽しい時間を過ごすための準備をする。
1週間後、1か月後、1年後、そして未来のために準備する。
いつか叶えたい自分の夢のために準備する。
準備の意識が高い子ほど、成績がよく、心も安定しています。
そして、成果を発揮する確率も高く、物事を上手に進める能力が習慣化させているような風格すら感じられます。
私たち指導者の立場からしても、
「頑張りなさい」
「努力しなさい」
と発するよりも、
「〇〇に備えて準備しよう」
「〇〇のためにどんな準備をしようか?」
「どんな準備をしたら、よい結果が出せると思う?」
という問いかけを交えた伝え方のほうが、子どもたちにとっても具体的な行動を描きやすいようです。
「準備」という言葉は、汎用性が高く、「努力」よりハードルを低く受け止めてくれます。
尚且つ具体的で成果も上がりやすく、結果的に準備の意識が努力に繋がります。
そしてなによりも、子どもたちに分かりやすく、伝わりやすい前向きな言葉です。
伝え方ひとつ、考え方ひとつで、子どもたちの意識や行動が変わる、魔法の言葉だと思っています。
皆さんも「努力」や「頑張る」を、「準備」という言葉に置き換えてみてください。
スクール長 鎌田
(「サイタ・メンバーズ通信」掲載コラムより)